WordPressを使わないホームページという選択肢|メリット・デメリットと中小企業の選び方
自分では作業をしない発注側——制作会社に作ってもらったサイトを持つ富山の中小企業——が、自社はどちらに当てはまるかを判断できる材料をまとめた案内です。数字や仕様には公表資料の一次情報リンクを添えました。
なお「もう決めていて、やめる方法を知りたい」段階なら、先に WordPressをやめたい会社へ が向いています。
- WordPressを使わないホームページの選択肢(静的サイト・ノーコード・ヘッドレスCMS・素HTML)
- 使わないメリット・デメリット(選択肢ごとの違い・費用)
- それでもWordPressのままが向くケース
- 更新頻度と機能要件から、自社がどれを選ぶかの判断フロー
なぜ今「WordPressを使わない」ホームページが選択肢になるのか
先に結論:WordPressのままが向く会社/他の選択肢が向く会社
はじめに結論です。次の3つのいずれかに当てはまる会社は、WordPressのままが有利です。自社の要件と照らし合わせながら確認していきましょう。
- ① 頻繁に更新する・ブログを量産する
- ② EC・会員・予約が事業の中核にある
- ③ 大規模な既存WordPressサイト(数百ページ規模)がある
逆に、ここに当てはまらない「会社案内・サービス紹介が中心で、更新は年に数回」という会社なら、WordPress以外の選択肢が生きてきます。本記事は、主に後者に向けた比較の案内です。
WordPressの普及率と、広く使われる理由
まず前提として、WordPressは今も圧倒的な最大勢力です。W3Techsによれば、2026年9月時点でWordPressは全Webサイトの40.7%を占め、CMS(記事や写真を管理画面から更新する仕組み。WordPressが代表例)に限れば市場シェア58.9%に達します(出典: W3Techs )。
広く選ばれるのは、単に有名だからではありません。オープンソースで特定業者に縛られにくく、管理画面から更新しやすく、プラグインでフォームやSEO・会員・ECを足しやすい。解説記事や委託先が多く、WooCommerceによるEC化にも対応しやすい(同ツールは全Webの8.1%で検出)という強みがそろっています(出典: W3Techs WooCommerce )。
でも「すべての会社サイトに最適」ではない
ただ、普及率が高いことと「自社に最適」であることは別の話です。WordPressはPHP(サーバー側で動くプログラム言語)・データベース・プラグイン・管理画面を伴い、更新・権限管理・バックアップ・脆弱性対応の運用が前提になります。
更新が年に数回の会社案内サイトでは、この仕組みが負担として表に出ます。発注側がよく困るのは、次のような場面です。
- 社内にWordPressの管理者がいないまま運用が続いている
- 少し直すたびに制作会社への依頼費が発生する
- 本体やプラグインの脆弱性対応の連絡が定期的に来る
実際、「社内に管理者がいないまま運用していて、本体の脆弱性対応が必要になったのをきっかけに、管理する対象を減らそうと静的サイトへ移した。紹介ページ程度なら正直これで十分」という声もあります(出典: Xの投稿 )。
近年はAIの支援で移行や運用のハードルが下がり、「使わない」という選択肢が現実的になってきました。まずは選択肢を知り、自社がどちらに当てはまるかを見ていきましょう。
WordPressを使わないホームページの選択肢
「WordPressを使わない」と一口に言っても、方法はいくつもあります。代表的な4系統を押さえておきましょう。
静的サイト(Hugo・Astro)
HugoやAstroは、あらかじめ原稿とテンプレートからHTMLを生成して配る「静的サイトジェネレータ」です。データベースを持たない構成にでき、表示が速く、攻撃の入り口も少ないのが持ち味になります。
更新のたびに「ビルド(ページを生成し直す処理)」が要る点が特徴で、Astroは必要な箇所だけを動的にする使い方もできます(出典: Astro Docs )。向くのは会社案内・採用・製品紹介など更新頻度が低いサイト、向かないのは毎日更新する大量記事のメディアです。
ノーコード(Wix・STUDIO・ペライチ)
ブラウザ上で画面を編集し、ホスティング(サイトを公開するサーバーの用意)やSSL、基盤の保守はサービス側が担うのがノーコードです。Wixは全サイトにSSL(通信を暗号化し、URLをhttpsにする仕組み)を追加費用なしで自動適用すると案内しています(出典: Wix )。
向くのは少人数で早く公開したい・デザインまで社内で更新したい会社、向かないのは将来の乗り換えや外部システム連携を重視する会社です。解約や乗り換え時にデザインやデータをそのまま持ち出せない制約がある点には注意が必要です。
ヘッドレスCMS(microCMSなど)
ヘッドレスCMSは、原稿を管理する画面と、実際に表示するサイトを分離する方式です。原稿はAPI(別のソフトへデータを渡す窓口)で配信し、表示側はAstroなどで作ります。
日本製のmicroCMSなら、「お知らせ・実績は社内で更新、表示は静的で高速」という役割分担ができます(出典: microCMS )。向くのは社内で更新しつつ表示は独自に最適化したい会社、向かないのは開発体制を持たず初期費用を抑えたい小規模案件です。
素のHTML/CSS
CMSを置かず、数ページを直接管理する最小構成です。内容がほぼ固定で、更新を制作会社に任せる会社に向きます。向かないのは社内で頻繁に文章を差し替えたい会社で、その場合は編集画面のある方式が無難でしょう。
なお、「素のHTMLなら必ず速い」かというと半分だけ本当です。実際に富山の「ヤマシナ印刷」様(通常のHTMLサイト)をお手伝いした際、改修前はPageSpeedスコアが68点でした(改善後に100点)。また医科大学の医局様の通常HTMLサイトでも改修前は76点(改善後97点)でした。WordPressでなくても、画像やコードが整理されていなければ表示は重くなります。
選択肢の比較(WordPressを基準に)
いま使っているWordPressを基準に置いて並べると、違いが見えやすくなります。費用はいずれも目安で、仕様は改定されるため発注前に公式を確認してください。
| 種類 | 初期費用 | 月額の目安 | 更新のしやすさ | 移行・持ち出し | 向く規模 |
|---|---|---|---|---|---|
| WordPress(基準) | テーマ・制作費 | サーバー+保守費 | 管理画面で容易 | データ出力は可 | 小〜大・記事運用 |
| 静的サイト(Hugo/Astro) | 制作費 | ほぼ0〜低め | ビルド/編集画面が要る | ソース自社保有=高い | 小〜中・低更新 |
| ノーコード(Wix/STUDIO/ペライチ) | 低〜無料 | 月額あり | 画面で容易 | 持ち出し困難=再構築 | 小・LP/会社案内 |
| ヘッドレスCMS(microCMS等) | 開発費 | CMS+ホスティング | 編集画面で容易 | CSV/API出力=中 | 中〜大・更新型 |
| 素のHTML/CSS | 制作費 | ほぼ0〜低め | 直接編集(制作会社) | ソース保有=高い | 数ページ・固定 |
種類ごとに長所と短所が大きく違います。それぞれの観点から詳しく掘り下げていきましょう。
WordPressを使わないホームページのメリット・デメリット
メリット(速度・安全・保守費)
WordPressを使わない構成の利点は、主に速さ・安全・運用費の3つです。静的配信ならPHPの実行やデータベースへの問い合わせが要らず、表示が速くなりやすい。表示が速いほど、訪問者に開いてすぐ読んでもらいやすくなります。
公開側に管理画面・プラグイン・データベースを持たなければ、攻撃の対象になる面も減らせます。本体やプラグインの更新確認・互換性検証といった保守も、軽くしやすいでしょう。保守費の面でも、「WordPressを使っていないHTMLサイトなのに、毎月高額な保守費用を払っているが何をしているのか分からない」という相談を受けたことがあります。WordPressでなくても保守の契約内容には注意が必要です。
構成によっては、月々の保守費を大きく減らせることもあります(弊社の事例でもシステム手入れが不要になった例があります)。ただし、いずれも傾向であり、必ずそうなると約束するものではありません。
デメリット・注意点(選択肢ごとに違う)
デメリットは「WordPress以外」で一括りにできません。方式ごとに性質が異なるので、分けて見ます。
- 静的サイト特有:更新にビルドやGit(変更履歴を管理する開発者向けの仕組み)の知識が要ることがあり、担当者交代時の手順書が必要になります。
- ノーコード特有:プラットフォーム依存が強く、解約・乗り換え時にデザインやページをそのまま持ち出せないことがあります。Wixはサイトを外部用HTMLとして公式にエクスポートする仕組みを提供していません(出典: Wix )。STUDIOもサイト全体のHTML出力機能は持たず、他基盤へは再構築が前提です(出典: STUDIO )。
- ヘッドレス特有:管理画面と表示を分けるぶん設計・運用の負担があり、大規模なヘッドレス運用は負担が大きいという声も出ます(出典: Xの投稿 )。
- 共通:フォーム・サイト内検索・会員機能は別サービスの契約と初期設計が必要になります。
なお、ノーコードには「Studioに課金して作ったが、AIに修正を頼めず、WordPressにしておけばよかった」という後悔の声もあります(出典: Xの投稿 )。手軽さと引き換えに、後からの自由度が下がる場面があるということです。
費用はどう変わる?初期・制作・保守・移行の目安
費用は方式で構造が変わります。ノーコードは初期を抑えやすい反面、月額がかかります。STUDIOは独自ドメインでの公開が月額590円から、ペライチは月額6,980円(税込7,678円)のプラン例が示されています(出典: STUDIO 料金 /ペライチ 料金 )。
ヘッドレスCMSは表示側を別に作るため、CMSの月額だけでは総額を比較できません。microCMSはHobbyが0円、Teamが月額4,900円から、Businessが75,000円からで、データ転送量に応じた従量課金もあります(出典: microCMS 料金 。いずれも本記事作成時点の公表プラン例で、改定されることがあるため発注前に各公式でご確認ください)。
保守費はWordPressより下げやすい傾向ですが、判断は「導入時の月額」ではなく「3〜5年の総コストとデータの持ち出しやすさ」で行うのが無難です。静的化を代行で頼むときの費用と手順は、WordPressの静的化代行費用と手順 で詳しく扱っています。
お問い合わせフォーム・サイト内検索はどうする
「WordPressのプラグインで簡単にできたこと」は、外部サービスで置き換えます。お問い合わせフォームはNetlify FormsやFormspreeなどで実現でき、送信内容をCSVで書き出すこともできます(出典: Netlify Forms )。
サイト内検索は、記事が少ないうちは付けないほうが保守を軽くできます。増えてきたらPagefindやAlgoliaなどを使い、Algoliaは月1万検索・10万レコードまで無料枠が示されています(出典: Algolia 料金 )。
WordPressを使わなくてもSEOは大丈夫か
SEOも、WordPressを使わないと不利になるわけではありません。タイトル・説明文・サイトマップ・構造化データ(検索エンジンに内容を伝える印)を整えれば、大きく不利になりにくいとされています。
ただし「静的だから順位が上がる」わけでもなく、CMSの種類そのものが順位を保証することはありません。長所も制約もあるので、自社の要件しだいで選ぶのが妥当でしょう。
それでもWordPressのままが向くケース
ここまで「使わない」側を見てきましたが、WordPressが優れる場面もはっきりあります。次の3つのいずれかに当てはまるなら、無理に離れないほうが合理的です。
頻繁に更新する・ブログを量産する
毎週・毎日の記事公開、複数人での下書きと公開、カテゴリ・タグ・関連記事・検索・著者管理。こうした運用が要るなら、WordPressの投稿管理機能が素直に合います。
- 週1回以上、求人・お知らせ・事例を自社で更新する
- 複数人が「下書き→承認→公開」の流れで記事を出す
- 記事の検索・カテゴリ分け・関連記事表示を使いたい
記事を継続的に増やしてSEO集客を主目的にする会社は、その典型です。既存の使いやすさを捨ててまで移る理由は薄いでしょう。
EC・会員・予約が事業の中核
ネットショップの決済・在庫、会員ログイン、予約管理など、動的な処理が中心の会社もあります。これらは静的サイト単体では完結しません。
- 予約制のクリニック・教室・サロンで、空き枠管理が要る
- 会員価格や卸価格を、ログインした人にだけ見せたい
- 在庫・注文・顧客情報をサイト上で扱う
この場合は、WordPress+適切な拡張か、専用のSaaSを軸に据えるのが妥当です。見た目の作り方より、決済・権限・個人情報・外部連携の要件を優先して選びます。
既存資産が大きい/担当者が慣れている/保守体制がある
数百ページ規模の記事、SEO流入、内部リンク、旧フォームやリダイレクトが数十本——こうした蓄積があると、移行コストとSEOのリスクは小さくありません。更新担当者がWordPressに慣れていて、移行で更新が止まるなら本末転倒です。
- 300ページを超えるオウンドメディアを運用している
- 過去記事へのSEO流入・被リンクが積み上がっている
- 更新・バックアップ・監視を担える制作会社や担当者がいる
以上に当てはまるならWordPress維持が無難です。もし当てはまらない場合は、更新頻度や求める機能から自社に合った仕組みを選んでいくことになります。
WordPressを続けるか、他の選択肢に移るか——更新頻度と要件からの選び方
まず判断:WordPressのままが向くか?
最初の分かれ道はシンプルです。先ほど挙げた3つの条件——頻繁更新・EC/会員/予約が中核・大規模な既存資産——に当てはまるかどうか。
当てはまるなら、答えは「WordPress維持が無難」で、ここで判断は終わります。当てはまらない会社だけ、次の選び方に進んでください。順番を逆にして「まずツール選び」から入ると、自社に不要な仕組みを買ってしまいがちです。
当てはまらない場合の選び方(更新頻度×機能要件)
当てはまらない会社は、更新頻度と機能で次のように当てはめます。
- 年数回・会社案内が中心:静的サイト(Hugo/Astro)または素のHTML。軽くて保守を絞りやすい。
- お知らせ・実績だけ社内で更新:静的サイト+ヘッドレスCMS。表示は高速のまま、更新部分だけ管理画面化できる。
- 非技術者がデザインごと自社で触りたい:ノーコード(Wix/STUDIO/ペライチ)。公開までが速い。
- 記事を量産してSEO集客したい:WordPress、またはヘッドレスCMS+静的サイト。
なお静的サイトでも、Decap CMSやCloudCannonのような編集画面を用意すれば、担当者はブラウザから更新でき、裏側では変更履歴が残る仕組みにできます(出典: Decap CMS /CloudCannon )。「静的サイト=エンジニアしか触れない」わけではありません。
WordPressから乗り換える場合の現実(工数・データ・リスク)
すでにWordPressで作った会社が乗り換えるなら、押さえどころは3つです。URLはできるだけ変えない、不要なページは移さず軽量化する、繁忙期を避けて余裕をもって進める。
近年はAIの支援で移行が短時間・低コストになった実体験が増えています。「ChatGPT連携で2時間ほどでHugoへ移行できた」「Hugoへ移して表示は爆速、サーバー代は0円、更新も快適になった」といった声です(出典: Xの投稿 /Xの投稿 )。
ただし記事数が多いと、リンクの貼り直しやデータ変換の下ごしらえが要ります。乗り換え(静的化)を代行で頼むときの費用と手順は、WordPressの静的化代行費用と手順 で詳しく扱っています。
自社・支援先での実測例(利益相反あり・測定条件つき)
参考として、弊社の案件を挙げます。弊社はWordPress以外=静的化を扱う制作会社なので、利益相反がある点を先にお断りします。
「繋がる花文字」様では、静的サイトへ移行した後、Google PageSpeed Insights(モバイルでの計測)のスコアが57点→100点、スマホの表示開始が8.3秒→0.8秒になり、更新で壊れるプラグインが無く、システムの手入れが要らない仕組みになりました。
また弊社自社サイト自身の検証でも、WordPress時代はスコア53点(TBT 610ms)だった状態から静的HTMLへ移行したことで100点(TBT 0ms)を達成し、同時にレンタルサーバーを解約してサーバー代0円(Cloudflareの無料プラン活用)での運用を実現しました。
他社の「選んでみた」事例(別データ・出所明記)
上記の弊社実測とは別に、他社の利用者がXで語る声も見ておきましょう。測定条件も出所も異なるため、弊社の数値と同じ土俵で比べるものではありません。
どちらを選んでも良し悪しはあります。案内であって説得ではありません。迷ったら、更新頻度と必要な機能を書き出すところから始めましょう。
WordPressを使わないホームページに関するよくある質問
Q
WordPressから別のサービスへホームページを移行するには、どうすればいいですか。
Q
WordPressなしでホームページにお問い合わせフォームを設置できますか。
Q
WordPressを使わないホームページに、ブログ機能は追加できますか。
Q
WordPressを使わないホームページ制作に必要な知識は何ですか。
まとめ
自社を当てはめる判断チェックリスト
- 頻繁更新・EC/会員・大規模な既存資産に当てはまる → WordPress継続が無難
- 会社案内が中心で更新が少ない → WordPressを使わない選択肢(静的サイト・ノーコード等)が有利になりやすい
- ツールは導入時の月額でなく、3〜5年の総コストとデータの持ち出しやすさで選ぶ
- ドメイン・ソース・原稿は、いつでも自社で持ち出せる状態にしておく
自社がどちらに当てはまるか。まずは今のサイトを見ながら、更新頻度と必要な機能を書き出して相談するところから始められます。