結論
遅さの決定打は、日本語ウェブフォント(Google Fonts)の外部読み込みだった、と私は見ています。外部読み込みをやめて端末標準のフォントに切り替え、仕組みごと静的HTMLへ作り替えた結果、PageSpeed Insights(携帯電話)で57点・表示開始8.3秒が100点・0.8秒になりました。

有料の高速テーマも高速サーバーも画像圧縮も入れたのに、まだ遅いことってあるんですか?
あります。私が自分で作ったサイトがまさにそれで、定番の高速化を一通りやっても57点でした。

「WordPressは重い」とよく言われます。けれど、定番の対策をやり切ったあとに何が残るのかは、あまり語られません。

この記事は、私自身がWordPressで制作した「繋がる花文字」様の公式サイトを、自分で「遅すぎる」と判断して作り直した記録です。測定はすべてGoogle公式のPageSpeed Insightsで、数字もスクリーンショットも実物をそのまま載せています。

この記事でわかること
  • 高速テーマ・高速サーバー・画像圧縮・キャッシュを入れても57点だった実例
  • PageSpeed Insightsの実測(Before/After)
  • 遅さの決定打だったと見ている「日本語ウェブフォント」の中身
  • フォントをどう処理したか(外部読み込みをやめ、端末標準のフォントへ)
  • 仕組みごと静的HTMLへ作り替えたときに効いた具体策
  • 代わりに手放したもの(書体が端末で変わること)

まず結果から:WordPressの静的化で57点・8.3秒 → 100点・0.8秒

対象は、花文字作家「繋がる花文字」様の公式サイトです。作品ギャラリー、教室・体験レッスンの案内、オーダーの受付(LINE・Instagram)を備えています。

測定は、2026年8月20日に、PageSpeed Insightsの「携帯電話」で行いました。BeforeとAfterは同じ日に測っています。

Before(WordPress時代)のPageSpeed Insights測定結果。パフォーマンス57点、表示開始(FCP)8.3秒、最大コンテンツ描画(LCP)9.0秒
After(静的HTML化後)のPageSpeed Insights測定結果。パフォーマンス100点、表示開始(FCP)0.8秒、最大コンテンツ描画(LCP)1.5秒
指標 Before(WordPress時代) After(静的HTML化後)
パフォーマンス 57点 100点
表示開始(FCP) 8.3秒 0.8秒
最大コンテンツ描画(LCP) 9.0秒 1.5秒
Speed Index 8.3秒 0.9秒
合計ブロッキング時間(TBT) 0ミリ秒 0ミリ秒
レイアウトのずれ(CLS) 0 0
ユーザー補助 92点 95点
おすすめの方法 69点 100点
SEO 92点 100点

TBTとCLSは、WordPress時代から良好でした。つまり、重かったのは「操作の反応」ではなく、画面が出るまでの待ち時間です。

なお、Afterの測定URLの末尾に「?v=9」が付いているのは、古いキャッシュを避けるために付けたものです。スマホでタップした瞬間に作品の画像がパッと開く、そんなサイトになりました。

なぜWordPressのサイトは遅かったのか:自分で作って、自分で「遅い」と思った話

定番の高速化を一通りやっても、57点だった

このサイトは最初、私がいつものやり方でWordPressで作りました。デザインも整い、納品できる状態まで仕上がっていた——はずでした。

ところが、スマホで実機テストを繰り返すうちに、どうしても拭えない違和感が出てきます。「……ちょっと表示がもたつく。遅いな」と。

測ってみると、冒頭の57点・8.3秒でした。手を抜いていたわけではありません。定番の高速化は、次のとおり一通りやっていました。

やっていた「定番の高速化」
  • 「高速」とうたう有料テーマを採用
  • 高速なレンタルサーバーを契約
  • 画像圧縮プラグインを導入
  • キャッシュ系の設定も実施

ここまでやったうえでの57点です。この記事でいちばん伝えたいのは、ここだと思っています。

決定打は、Google Fontsの読み込みだった

正直に言うと、当時の詳細な測定項目の記録は、もう手元に残っていません。サイトを作り替えてしまったため、冒頭の57点のスクリーンショットが、唯一残った当時の証拠です。

したがって、「フォントだけで何点分」という切り分けた数字は出せません。ただ、決定的に重さを生んでいた原因は、はっきり覚えています。Google Fonts(ウェブフォント)の読み込みでした。

デザインを整えるために、WordPressのテーマ経由でGoogle Fontsを外部から読み込んでいたのですが、これが想像以上の足かせでした。

  • 日本語のウェブフォントは、とにかく重い:ひらがな・カタカナ・漢字と収録文字数が膨大なため、データは数百KB〜数MB規模になりがちです。
  • 外部への追加リクエスト+表示のブロック:別ドメインのGoogle Fontsを取りに行く通信が増えます。読み込み方によっては「フォントが届くまで文字が出ない」状態になり、ページ全体の表示開始そのものを遅らせます。
外部のGoogle Fontsを読み込む場合(外部へ通信してフォントが届くまで待つ)と、端末標準のフォントを使う場合(そのまま描くので外部通信も待ちも発生しない)の流れを上下で対比した図

これに、次の2つが重なっていました。

  • 作品を魅せるための“重さ”:花文字は作品写真が主役で、美しさを保つ高解像度画像は、そのまま読み込み負荷になります。
  • WordPressという仕組みそのもの:アクセスのたびにデータベースと通信してページを組み立て、テーマやプラグインのCSS・JavaScriptを何本も読み込みます。

有料の高速テーマや画像圧縮プラグインでも、この「フォント+仕組み」の重さまでは、構造的に取り切れませんでした。

静的化でやったこと:外部フォントをやめ、仕組みごと作り替える

小手先のチューニングではなく、仕組みそのものを変える判断をしました。「作品と想いをじっくり見せるサイト」という目的はそのままに、中身だけを静的HTMLに入れ替える方針です。

フォントは「外部読み込みをやめて、端末標準のフォントにした」

今回いちばん効いたと見ているのが、フォントの扱いです。Google Fontsの外部読み込みをやめ、ウェブフォントそのものを使わずに、端末にもともと入っているフォント(システムフォント)で表示する形にしました。

フォントの処理には、大きく4つの選択肢があります。今回選んだのは、いちばん下の方法です。

方法 中身 今回
外部から読み込む(Google Fonts) 別ドメインから、毎回フォントを取得する やめた
自分のサーバーに置く(セルフホスト) 外部通信は減るが、フォントのデータ自体は配信する 採用していない
必要な文字だけに削る(サブセット化) データは軽くなるが、フォントファイルは残る 採用していない
端末標準のフォント(システムフォント) ダウンロードするフォントが、そもそも無い 採用

見出しは明朝体、本文はゴシック体を指定しています。iPhoneやMacならヒラギノ、Windowsなら游ゴシック・游明朝やメイリオが使われます。

その結果、フォントのダウンロードも、「文字が出るまで真っ白」の待ち時間も無くなりました。表示開始が一気に速くなったのは、この変更が大きかったと感じています。

そのほかに効いた4つの処理

フォント以外では、次の処理を入れました。

  • 「毎回組み立てる」をやめた:データベースを使わず、完成済みのHTMLをそのまま配信する形へ。アクセスのたびの生成処理が消え、待ち時間の根本が無くなりました。
  • 画像を軽く、かつ賢く:作品写真はWebPへ変換し、画面に入っていない画像は後から読み込みます(遅延読み込み)。ただし、最初に見える主役の画像は遅延させず、最優先で表示しています。
  • 読み込みを止める要素を外した:表示を妨げていたCSS・JavaScriptを整理し、CSSはインライン化して「描画をブロックする待ち時間」を解消しました。
  • 特別なサーバーには置いていない:配信は、いまも一般的なレンタルサーバーです。速さの差を生んだのは、サーバーではなく、中身の作り方でした。
WordPressの静的化を代行で頼む費用と手順は?数十万円を抑えるコツと向き不向き
あわせて読みたい
WordPressの静的化を代行で頼む費用と手順は?数十万円を抑えるコツと向き不向き
WordPressの静的化を代行で頼むと費用はいくらか、どんな手順かを発注者目線で整理。素材流用とAIで15万円前後(税抜・目安)から。引き継げるもの・作り直すもの、向く会社と向かない会社まで、案内として解説します。
ページを見る →

代わりに手放したもの、そして得られたもの

先にデメリットから書きます。ウェブフォントで書体を固定していたWordPress時代と違い、いまは端末に入っているフォントで表示されるため、同じページでもiPhoneとWindowsで書体の印象が少し違います。

書体を固定できなくなる
端末標準のフォントを使う以上、「どの端末でも全く同じ書体で見せたい」という要望とは両立しません。ロゴや、書体そのものが作品になる部分は、画像として用意する必要があります。

一方で、得られたものもありました。

  • 狙われる入口が減る:動くプログラムやデータベースが無いので、改ざんや乗っ取りの入口が小さくなります。
  • 保守の手間が軽い:プラグインやテーマの更新に追われる運用から離れられます。

速さだけでなく、「持っていて気が楽なサイト」になったことも大きな収穫でした。

WordPressの静的化で学んだ「引き算」の考え方

Web制作をしていると、つい「新しい機能を足すこと」「高機能にすること」が進化だと思いがちです。でも今回、自分で作ったものに自分でダメ出しをして作り直す、という遠回りをして、強く感じたことがあります。

お客様のためになる仕事は、足し算ばかりではありません。目的に合わせて不要な複雑さを削ぎ落とす「引き算」こそ、一番身軽で、長く使えるサイトを作る近道でした。

まとめ

この事例のポイント

  • 高速テーマ・高速サーバー・画像圧縮・キャッシュを入れても、57点・表示開始8.3秒だった
  • 私の見立てでは、決定打は日本語ウェブフォント(Google Fonts)の外部読み込みだった
  • 外部読み込みをやめ、端末標準のフォントにして、仕組みごと静的HTMLへ作り替えた
  • 結果は100点・表示開始0.8秒(PageSpeed Insights・携帯電話、2026年8月20日)
  • 代わりに、書体は端末ごとに変わる
無料スピード診断を受付中
今お使いのサイトのURLをお送りいただくだけで、現在の表示速度・PageSpeedスコアを計測し、「静的化でどこまで改善できそうか」の見込みを無料でお答えします。営業電話は一切行いません。
PageSpeedのスコアを改善するには|57点→100点の実例と発注側の視点
あわせて読みたい
PageSpeedのスコアを改善するには|57点→100点の実例と発注側の視点
PageSpeed Insightsのスコアが低い——何点を目指せばいいのか、どこを直すのか、誰に頼むのか。ラボとフィールドの違い、点数を追わない判断軸、そして静的化で57点→100点にした実例まで、発注側の目線で解説します。
ページを見る →
免責事項
本記事の数値は、「繋がる花文字」様のサイトを2026年8月20日にPageSpeed Insights(携帯電話)で測定した1事例のものです。測定のたびに数点ぶれるため、同じ数値が再現するとは限りません。改善幅は、元のサイトの構成・画像量・移行内容・その後の運用によって変わります。