結論
「著作権があるから解約できない」と言われても、それだけで契約を続けなければならないわけではありません。著作権は「今のサイトをそのまま引き継げるか」を左右する話で、「解約できるか」とは別の問題です。あなたの会社の文章や写真は、あなたの資産。まず何が誰の権利かを切り分けるところから始めてください。

制作会社に解約を伝えたら「デザインの著作権はうちにあるので、勝手に他社へは移せません」と言われました。もう乗り換えられないのでしょうか。
結論から言うと、乗り換えられなくなるわけではありません。実際、そう言われて動けなくなっている経営者の相談を何度も受けてきました。ただ、感情的にやり合う前に、順番があります。著作権の話と、解約できるかどうかの話を、まず分けて考えましょう。

富山でホームページを作っていると、「前の会社と解約したいのに、著作権を盾にされて進めない」という相談を本当によく受けます。金額の交渉より先に、この一言で心が折れてしまう経営者は少なくありません。

実際に似た相談を受けたことがあります。「解約を伝えたらサイト閉鎖やドメイン停止を告げられ、やむなく新しいドメインでゼロから作り直した」「ドメインが制作会社名義になっていて、移管やデータ受け渡しに高額な費用を請求された」「サーバーやWordPressの管理権限を渡してもらえない」「そもそも制作会社と連絡が取れなくなってしまった」といったケースです。

この記事では、「著作権があるから解約できない」という主張が法的にどこまで正しいのかを整理し、あなたの資産を守りながら安全に乗り換える手順まで案内します。法律の話には、著作権法の条文(e-Gov法令検索)や文化庁、裁判所などの一次情報リンクを付けるので、専門家でなくても「これは公的機関がこう言っている」と切り分けて読めます。

この記事でわかること
  • 「著作権があるから解約できない」がどこまで正しいのか
  • 制作費を払っても著作権が自分のものにならない理由
  • ありふれたレイアウトに著作権が及びにくいこと、その落とし穴
  • 自分の資産だけ持ち出して安全に作り直す考え方
  • 本当の壁は著作権ではなくドメインの名義であること
  • 揉めたときに頼れる公的な相談窓口

ホームページ制作会社と著作権の基本ルール

「著作権がある」ことと「解約できる」ことは別の問題だと示し、著作権は作った人に自動で発生する点を図解したイメージ

そもそも、なぜ「著作権はうちにある」と言えるんですか。お金は私が払ったのに。
そこが最初のつまずきどころです。「払った人」と「権利を持つ人」は、著作権では一致しないことがあるんです。

先に結論をお伝えしておくと、著作権が制作会社に残っていても、解約や乗り換えができなくなるわけではありません。相手の主張を頭から否定するのではなく、仕組みを正しく押さえておくことで、どう乗り換えるかの道筋が冷静に見えてきます。

なお、これは特定の制作会社を批判する記事ではなく、業界にこういう商習慣がある、という構造の説明です。著作権や契約の最終判断は事案ごとに変わるので、揉めそうなときは専門家に相談する前提で読んでください。

制作会社に著作権があると言われるのはなぜか

そもそも著作者とは誰か
著作権法では、著作者は「著作物を創作する人」です。ホームページを外注した場合、原則として、実際に手を動かして作った側(制作会社やそのデザイナー)が著作者になります。

著作権法でも、著作者人格権と著作権は「著作物を創作した時点」で自動的に発生すると定められています。登録などの手続きは要りません(出典: 著作権法17条(e-Gov法令検索) )。

文化庁も、委託して制作した場合は料金の支払いにかかわらず、実際に創作した受注者側が著作者になる、と説明しています(出典: 文化庁「著作権テキスト」 )。だから「著作権はうちにある」という主張自体は、法律上ありうる話なのです。

ここを頭ごなしに否定すると、話がこじれます。まずは「なるほど、著作権が制作会社に残ること自体はあり得るんだな」と受け止めるところから始めましょう。

制作費を払えば著作権は自分のものになるのか

多くの経営者が誤解しているのがここです。「お金を払ったんだから、当然うちのもの」ではありません。

制作費を支払った事実だけでは、著作権(財産権)は自動的に発注者へ移りません。移すには、契約書や発注書、見積書、メールなどで「著作権を譲渡する」と定めておく必要があります(出典: 著作権法61条ほか(e-Gov法令検索) )。

絵を一枚買ったときのたとえ
絵そのものは自分のものになっても、その絵を複製したり改変したりする権利まで一緒に買ったわけではありません。ホームページも同じで、「代金を払った=すべての権利を手に入れた」ではないのです。

逆に言えば、契約書に譲渡や利用許諾の取り決めがあれば、あなたに利用できる範囲がある可能性があります。 まずは手元の契約資料を引っぱり出して、著作権や利用について何が書いてあるかを確認してください。

あなたの資産と会社側の権利を分ける

ホームページの構成要素を、発注者の資産・制作会社側に残りやすい・著作権が及びにくい、の3つに仕分けた表形式の図

「ホームページ全体に著作権がある」という説明は、実は大ざっぱすぎます。ホームページは複数の要素の集まりで、要素ごとに権利者が違うからです。

大きく3つに分けると整理しやすくなります。

分類 主な中身 乗り換え時の扱い
あなたの会社の資産 掲載テキスト、会社情報、商品情報、自社で撮った写真、支給したロゴ 持ち出して使える
制作会社側に残りやすい 描き下ろした特注イラスト・バナー、創作性のあるソースコード コピーせず差し替える
著作権が及びにくい 会社概要や料金表を並べる、ありふれたレイアウト・一般的な画面構成 参考にしてよい(似せすぎは注意)

「著作権が及びにくいもの」については、次で詳しく見ていきましょう。

ありふれたレイアウトや構成に著作権はあるのか

ここが、この記事でいちばん知ってほしいところです。著作権法が守るのは「創作的な表現」であって、「アイデア」や「ありふれた表現」は守りません。

著作権法は著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義しており、単なる事実や、誰が作っても似てしまうありふれたものは対象になりにくいのです(出典: 著作権法2条1項1号(e-Gov法令検索) )。

よくある会社サイトの並べ方そのものには著作権が及びにくい
会社概要・サービス・料金・FAQ・問い合わせフォームを並べる、という事業サイトの定番構成には、創作性が認められにくいと裁判所も認めています。

実際、あるウェブサイトの表現が争われた東京地裁の判決(平成26年7月30日)では、次のような要素が「創作的表現とはいえない」と判断されました。

  • 店舗名や電話番号の配置
  • 実績を赤い帯で強調すること
  • サービス内容・特徴・費用・FAQ・顧客の声・依頼の流れ・見積フォームを並べる構成

裁判所は、これらを「広告用サイトで広く一般的に行われる構成・手法」と位置づけています(出典: 東京地裁 平成26年7月30日判決(裁判所) )。

ただし、これを「レイアウトが似ていれば何でもOK」と受け取ると、思わぬ落とし穴があります。

著作権はセーフでも別の法律に触れることがある
他社サイトをそっくり真似て、お客さんに「同じ会社だ」と誤認させるような場合は、不正競争防止法という別の法律の問題になり得ます。ざっくり言うと、紛らわしい真似で顧客を混同させる行為を禁じるルールです(出典: 経済産業省「不正競争防止法の概要」 )。だから、後で説明する乗り換えでは「似せすぎない、独自の要素を必ず入れる」ことが前提になります。

このあたりは事案ごとに判断が変わるところなので、心配なときは自己判断せず、著作権の相談窓口や弁護士に確認してください。

自分で直せないのはなぜか

著作権を譲り受けても、同一性保持権(著作者人格権)は制作者側に残るため、無断で改変できないことを示した図

もうひとつ、乗り換えを考えるうえで大事な権利があります。著作者人格権のなかの「同一性保持権」です。

これは、著作者が「自分の作ったものを、意に反して勝手に変えられない」権利です(出典: 著作権法20条(e-Gov法令検索) )。やっかいなのは、この著作者人格権は著作権(財産権)を譲ってもらっても、制作者側に残るという点です。一身専属といって、そもそも譲渡できない権利なのです。

つまり、今あるサイトのデザインやコードを、制作会社に無断で切り貼りして手直しして使い回す、というやり方は、この権利に触れる可能性があります。既存のものを作り替える行為は、著作権法では「翻案(=元の作品を土台に作り替えること)」の問題になる場合もあります(出典: 著作権法27条・28条(e-Gov法令検索) )。

だから「作り直す」という発想になる
乗り換えの考え方は「今のコードをこっそり改造して使う」ではなく、「自分の資産である文章や写真は持ち出し、デザインは新しく作り直す」です。この考え方を持っておくと、乗り換えの進め方がぐっとスムーズになります。

制作会社の「著作権があるから解約できない」への対処法

「著作権があるから解約できない」という一言を、契約を終える話・サイトを引き継ぐ話・データを受け取る話の3つに切り分けて整理した図

法律のことは何となく分かりました。でも、実際に「解約できない」と言われている私は、どう動けばいいんですか。
ここからが本題です。「著作権がある」ことと「解約できない」ことは、実は別々の話。分けて考えると、道が見えてきます。

「解約できない」は本当か

まず押さえてほしいのは、契約を終われるかどうかは、著作権だけで決まる話ではないということです。

契約を解約できるかは、契約期間、自動更新、中途解約の条項、違約金、未払いの有無などで決まります。著作権が関わるのは、そのうち「今のサイトをそのまま引き継げるか」「改変できるか」「データを受け取れるか」の部分だけ。解約できるかどうかを直接左右するものではない、と考えてよいでしょう。

「解約するなら数十万円」の多くは牽制
「解約するならデータを返さない」「著作権の買い取りで数十万円」といった主張は、法律の権利をきちんと行使しているというより、毎月の保守契約を切らせないための牽制であることが少なくありません。

実際、工務店の2代目という経営者が、この一部始終をXに投稿しています。月18,000円で管理を任せていた制作会社に解約を伝えたところ、強く引き止められ、「解約するなら50万円ほどかかる」と言われた。

理由を聞くと「デザインやドメインを移設する費用」。持ち帰ってAIに相談すると「ドメイン移管はそこまで高額になりにくい」「デザインも著作権に配慮したオリジナルの形で作れる」との答え。結局「ドメインの移管だけお願いします」と伝え、質問攻めにあいながらも、最終的には解約を承諾してもらえた、という流れです。

m_syachoo Xの投稿より
ついこの間まで、自社ホームページの管理を、とある制作会社に月18,000円で依頼していました。ただ最近は、AIの進化もあり、ホームページを自社で管理するハードルがかなり下がってきたと感じています。そこで、制作会社に解約したいと電話したところ、、、
Xで元の投稿を見る

このケースで効いたのは、感情的にやり合うことではなく、「移設費用の名目は妥当か」を落ち着いて確認し、ドメインという実務の要点に絞って交渉したことです。

ただし、「牽制だから無視していい」という意味ではありません。牽制でも、揉め方は契約書の中身しだいです。だから次に説明する手順を踏んでください。

デザインを再現・再構築すれば乗り換えられる

乗り換えの基本の考え方は、シンプルです。今のサイトの中身を丸ごとコピーするのではなく、自分の資産だけを持ち出して、デザインは新しく作り直す。

具体的には、こう進めます。

  • あなたの会社の文章、自社で撮った写真、ロゴといった「もともとあなたのもの」を持ち出す
  • デザインは、色の雰囲気や全体の印象を参考にしつつ、新しいクリーンなコードで作り直す
  • 制作会社が作った特注のイラストやバナーは、フリー素材や新規制作のものに差し替える

なぜこれで大丈夫なのか。著作権の侵害かどうかは、大まかに言うと「依拠性(相手の作品を見て、それを基に作ったか)」と「類似性(守られる創作的な表現が同じか)」で判断されます。前に紹介した東京地裁の判決も、共通する部分がアイデアやありふれた表現にすぎない場合は複製にも翻案にも当たらない、という考え方を示しています(出典: 東京地裁 平成26年7月30日判決(裁判所) )。

だから、ありふれた構成を参考にしつつ、中身を自分の資産と新規制作で組み直すなら、著作権侵害には当たりにくいと考えられます。 しかも古い重たいコードが消えて表示も速くなるので、作り直しはあなたにとってもメリットがあります。

乗り換えの安全条件
「似せて作り直せば絶対に安全」ではありません。前に触れたとおり、そっくり真似すると不正競争防止法の問題になり得ます。似せすぎない、独自の要素を必ず入れる。これが安全の条件です。

再現・乗り換えでつまずく典型パターン

安易に「じゃあ作り直せばいいのか」と走る前に、つまずきやすいポイントを正直にお伝えしておきましょう。ここを踏むと、かえってトラブルのもとになります。

これをやると火種になる
  • 制作会社が作ったソースコードや特注イラスト、バナーを、そのままコピーして使う(侵害リスクがいちばん高い、火種になりやすい典型)
  • デザインをそっくり似せすぎる(著作権はクリアできても、不正競争防止法の問題)
  • 契約書に著作権譲渡や解約の条項があるのに、確認せず動く(内容によっては手続きや費用が必要)
  • ドメインの名義が制作会社のまま(次で説明する、乗り換えの本当の壁)

これらに当てはまりそうなら、自己判断で強行せず、専門家に相談してから動いてください。

本当の壁は著作権ではなくドメインの名義

著作権の壁は乗り越えられる一方で、制作会社名義のドメインが解約時の本当の壁になっていることを対比した図

ここまで著作権の話をしてきましたが、実は、乗り換えでいちばん困るのは著作権ではありません。ドメインとサーバーの名義です。

著作権とドメインは支配の及ぶ範囲が違う
著作権が制作会社に残っていても、あなたの会社名義のドメインや、あなたが契約したサーバーまで、制作会社が勝手に支配できるわけではありません。逆に、ドメインの登録者やサーバーの契約者が制作会社の名義になっていると、乗り換えのときに大きな支障が出ます。

Xには、こんな警告や実害の声がたくさんあります。ドメインを制作会社名義にされていて、解約したらURLごと消えた。更新したいと言ったら「うちが管理しているので1回3万円」と言われた。

制作会社が倒産して、管財人からホームページデータの移管は1件11万円だと案内された。いずれも、著作権ではなくドメインやデータの管理権限が原因で起きているトラブルです。

Veronicaweb9 Xの投稿より
ホームページを依頼する前に必ず確認してください。「ドメインとサーバーは誰の名義ですか?」制作会社名義のままだと、リニューアルや移管の時に自由に使えないケースがあります。うちのクライアントさんの事例では、高額請求された例も。ドメイン・サーバーは自社名義で契約が一番安心です。
Xで元の投稿を見る

著作権を心配する前に、まずドメインが誰の名義になっているかを確認してください。ここが自社名義なら、乗り換えの選択肢はあなたの側に残ります。

保守費の悩みと著作権の囲い込みは地続き
「毎月の保守費が高い」という悩みと、この著作権・ドメインの囲い込みは、実は地続きです。保守契約を解約したいだけなのに、著作権やドメインを盾に引き止められる、という構図になりやすい。ただし、保守契約を切れるかどうかと、著作権が誰にあるかは、本来は別の問題です。分けて考えてください。保守費の適正相場や費用の内訳については、ホームページ維持費の内訳と相場 で詳しく解説しています。

制作会社側の本音と誠実さの見分け方

公平を期すために、作る側の本音もお伝えします。制作会社がすべて「囲い込みをしている」わけではありません。

制作者のなかにも、契約終了に伴うドメイン譲渡の拒否はすべきでない、と明言する人がいます。

契約は解除できるものである以上、制作会社や制作者側は契約終了に伴い必要となるドメイン譲渡の拒否はしてはいけないと考えています。

(出典: 制作者のXの投稿 )

「著作権は基本的に譲渡しないスタンスだが、使える権利と著作権は別のものだと説明している」という制作者の声もあります。

一方で、「お金を払ったんだから著作権は自分のもの、というのは間違い。外注した場合、著作権は原則として制作会社側に残る」と発注者に注意する制作者もいます。これは牽制ではなく、正しい情報提供です。

誠実な制作会社の見分け方
要は、相手の姿勢そのものより、契約書に何と書いてあるかで判断すべきだということです。誠実な制作会社かどうかは、「契約を終えるとき、何がどう残りますか」と聞いてみると見えてきます。即答できる会社は、たいてい信頼できます。
ここで紹介する内容は一般論です
ここまでは、あくまで一般的な考え方の説明です。契約書の文言やデザインの類似の程度によって、結論は個別に変わります。「牽制だ」と決めつけて自己判断で強行せず、揉めそうなときは動く前に弁護士や著作権の相談窓口に確認してください。

ホームページ制作会社を安全に乗り換える手順

資産の確認→ドメイン名義の確認→契約書の確認→相談、という乗り換え前の4ステップを順番に並べた図

やることは分かってきました。実際に動くとき、何から手をつければいいですか。
順番が大事です。いきなり解約を告げるのではなく、先に足元を固めます。4つのステップで説明します。

まず持ち出せる自社データを確認する

最初にやるのは、何が自社の資産かを確認することです。次のものは、もともとあなたの会社のもの。手元にデータがあるか、なければ今のサイトから回収できるかを確認しておきます。

  • 掲載している文章(会社概要・サービス説明・料金・お知らせ)
  • 会社情報・商品情報
  • 自社で撮影した写真、支給したロゴ
  • 提供した資料やPDF

回収の際は、各ページを印刷やPDFで保存しておくと、後で「元はこうだった」と示せて安心です。

同時に、制作会社から提供された素材や、制作会社が作ったイラスト・バナー・コードは、権利が向こうに残っている前提で扱います。持ち出すのは「自分のもの」だけ、と切り分けておくと安全です。

ドメインとサーバーの名義を確認して移管する

次に、ドメインとサーバーの名義です。ここが乗り換えの心臓部です。

JPドメインなら、JPRS(日本レジストリサービス)のWHOISという仕組みで、登録者名や管理している事業者を確認できます(出典: JPRS WHOIS )。名義が自社なら、指定事業者を変更する手続きで他社へ移せます(出典: JPRS「管理指定事業者の変更」 )。名義が制作会社になっている場合は、まず名義変更に応じてもらえるかを確認してください。

移管には日数と条件があります。ドメインに「指定事業者変更ロック」がかかっていると手続きができないので、ロックの有無や認証コード(AuthCode)の交付条件も早めに確認しましょう(出典: JPRS「指定事業者変更ロック」 )。解約日から逆算して、余裕を持って動くのが安全です。

やってはいけないこと
契約関係がはっきりしない段階で、制作会社のサーバーに勝手にアクセスしたり、パスワードを変更したりするのは避けてください。データの引き渡しは、契約に基づいて書面で求めるのが筋です。

契約書で確認する3つのこと

契約期間と解約予告・著作権とデータの引き渡し・ドメインとサーバーの名義という、契約書で確認する3点をまとめた図

動く前に、契約書で最低3つを確認します。

  • 契約期間と解約予告(自動更新の有無、中途解約できるか、違約金があるか)
  • 著作権とデータの引き渡し(譲渡や利用許諾、データの返却について何と書いてあるか)
  • ドメインとサーバーの名義

もし契約がリースや分割払いになっている場合は、さらに注意が必要です。制作会社との関係だけでなく、リース会社や信販会社との契約も絡むからです。「初期費用ゼロ、月額いくら」という説明の裏で、総額が大きくなっているケースもあります。

条項の意味が読み取れない、揉めそうだと感じたら、その時点で専門家に相談してください。

揉めそうなときの相談先

文化庁・CRIC・法テラス・よろず支援拠点と弁護士、そして技術相談の窓口を役割別に整理した相談先マップの図

ひとりで抱え込まないでください。 公的な相談窓口があります。

相談先 向いている相談 連絡先の例
文化庁 著作権 著作権制度の基本を知りたい 公式ページ
著作権情報センター(CRIC) 制度全般の質問を電話で 03-5333-0393(平日10〜12時・13〜17時。案内 )
法テラス 契約トラブルの相談先が分からない 0570-078374(平日9〜21時・土9〜17時。案内 )
よろず支援拠点 経営全般・乗り換え後の事業継続 全国に無料窓口(案内 )

ただし、これらの窓口は役割が違います。文化庁やCRICは制度の説明が中心で、紛争中の個別事案には対応しないことがあります。個別の権利判断や相手方との交渉が必要なときは、弁護士への相談が向いています。

相談先は役割で使い分ける
法的な判断は、上記の公的窓口や弁護士へ。これが大前提です。そのうえで、「実際に別の形へ載せ替えられるのか」という技術・実務面のセカンドオピニオンが必要なら、私たちのような制作側の窓口も使えます(載せ替えの進め方はサービス案内 をご覧ください)。法律相談と技術相談は、役割が別だと考えてください。

ホームページ制作会社と著作権に関するよくある質問

Q
今から著作権を譲り受けることはできますか。
▼
A
可能です。制作会社と著作権譲渡の合意ができれば、契約で移せます。ただし相手が応じるかは交渉次第で、費用が発生することもあります。譲渡には著作権法27条・28条の権利も含める、といった書き方の注意点があるので、契約書は専門家に見てもらうと安心です。
Q
「解約するなら著作権買い取りで数十万円」と言われました。払う必要はありますか。
▼
A
契約書にそうした定めがなければ、当然に払う義務があるとは限りません。まず契約書に買い取りや違約金の条項があるかを確認してください。根拠が示されないまま高額を請求されている場合は、支払う前に弁護士や公的窓口に相談することをおすすめします。
Q
もう不利な契約書にサインしてしまいました。取り消せますか。
▼
A
契約は原則として有効ですが、契約期間や中途解約の条件によっては、途中で終えられる場合があります。事業者間の契約は消費者向けのクーリングオフが当然には使えないことが多いので、契約書を持って弁護士や相談窓口で確認してください。
Q
解約を申し出たのに、連絡を無視されています。
▼
A
口頭やメールだけでなく、書面(内容証明など)で解約の意思と期限を明確に伝える方法があります。それでも動かない場合は、法的手続きの検討も含めて専門家に相談してください。記録を残しておくことが大切です。
Q
「自社CMSのリース契約で途中解約できない」と言われました。
▼
A
制作とリース・信販が組み合わさった契約は、解約の可否や残債の扱いが複雑です。リース会社との契約書を確認し、早めに専門家へ相談してください。総額と残りの支払いを把握することが先決です。
Q
契約書に著作権のことが何も書かれていません。どうなりますか。
▼
A
取り決めがない場合、著作権は原則として制作した側に残ります。ただし、あなたが公開・利用することを前提に発注している以上、利用できる範囲について話し合いや確認の余地はあります。まずは制作会社に、利用と引き渡しについて書面で確認するのがよいでしょう。
Q
制作会社が倒産したら、ホームページは使い続けられますか。
▼
A
ドメインとサーバーが自社名義なら、サイトを維持できる可能性が高いです。制作会社名義だと、移管できずに使えなくなるリスクがあります。倒産の場合は管財人や弁護士が窓口になることがあるので、ドメインの名義は平時のうちに自社へ移しておくのが安全です。
Q
似たデザインで作り直したら、訴えられませんか。
▼
A
ありふれた構成や配色を参考にする程度なら、著作権侵害には当たりにくいと考えられます。ただし、そっくり真似ると著作権とは別に不正競争防止法の問題になり得ます。文章・写真・イラスト・コードはコピーせず、独自の要素を入れて作り直すのが安全です。心配なら事前に専門家へ。
Q
著作権譲渡契約とは何ですか。相場はいくらですか。
▼
A
制作物の著作権を制作会社から発注者へ移すための契約です。費用は決まった相場があるわけではなく、制作内容や交渉によって変わります。無償で譲渡する契約もあれば、別途費用を求められることもあります。

まとめ|著作権を盾にされても乗り換える道はある

「著作権があるから解約できない」と言われても、それだけで縛られるわけではありません。

著作権が制作会社に残ること自体はあり得ます。でも、あなたの会社の文章や写真は、あなたの資産です。

ありふれたレイアウトに著作権は及びにくく、自分の資産を持ち出して作り直せば、乗り換えの道はあります。そして、本当に確認すべきなのは著作権よりドメインの名義でした。ここが自社なら、選択肢はあなたの側に残ります。

まとめ

著作権を盾にされても乗り換える道はある

  • 「著作権が残る」ことと「解約できない」ことは別の問題
  • 似せすぎない、契約書を確認する、揉めそうなら一人で抱えない
  • 法律の話は一般論。個別の判断は文化庁の窓口や弁護士へ

そのうえで、「今の契約でも、別の形に載せ替えられるのか」を具体的に知りたくなったら、現状の契約書を手元に、気軽に相談してください。安全に移せるかどうか、一緒に確認できます。

免責事項
本記事は2026年9月時点の情報にもとづく一般的な解説です。著作権法・不正競争防止法などの法令や、各相談窓口の名称・連絡先は、改正や変更で内容が変わる可能性があります。また、著作権の帰属や契約解除の可否といった判断は個別の事案によって結論が変わります。実際のトラブルについては、弁護士・著作権相談窓口など専門家に最新の情報をご確認ください。